片付けても変わらない人が手放せていないもの
「片付けても、またすぐ散らかってしまう」
「物を減らしているのに、暮らしがあまり変わらない」
そんなとき、手放すべきなのは「物」だけではないのかもしれません。
片付けというと、
「もっと捨てなきゃ」
「物を減らさなきゃ」
「手放せない自分はダメなんだ」
そんなふうに考えてしまいがちです。
でも、私は片付けにおいて、もっと大切な「手放し」があると思っています。
それが、
思い込みを手放すこと。
今回は、そんなお話をしていきます。
そもそも、人は「手放す」のが苦手
「私、手放すのが苦手なんです」
片付けの現場でも、よく聞く言葉です。
でも実は、人間ってそもそも「手放す」のが苦手なんですよね。
今の状態で生きていられるなら、できるだけ変えたくない。
これは、ある意味で人間の本能でもあります。
大昔の人間にとって、今いる安全な場所を離れることは、危険と隣り合わせでした。
もしかしたら、獣に襲われるかもしれない。
もしかしたら、危険な場所に行ってしまうかもしれない。
だから、
「今のままでいたい」
という感覚は、決しておかしなものではありません。
物を手放すことも、転職することも、人間関係を変えることも。
「変えたほうがいい」と頭ではわかっていても、変化する怖さのほうが勝ってしまう。
それは、あなただけではありません。
人間は、基本的に変化が苦手なんです。
だからこそ、
「手放せない自分はダメ」
と思わなくて大丈夫。
そのうえで、
「じゃあ、今の自分に本当に必要なものは何だろう?」
と、一歩踏み出してみることが大切なんだと思います。
何でも捨てればいい、という話ではありません
ここで誤解してほしくないのは、
「手放す=何でも捨てる」
ではないということ。
収納にきちんと収まっていて、困っていない。
それなら、無理に捨てる必要はありません。
思い出の品もそうです。
使っていなくても、それを見るたびに心が温かくなる。
そんなものなら、無理して手放す必要なんてないんですよね。
大切なのは、
自分にとって心地よく暮らせる量になっているか。
結局はバランスです。
物が多すぎれば、管理する手間も増えます。
探す時間も増える。
片付ける時間も増える。
だから、物を減らすこと自体にはメリットがあります。
でも、
「何を手放すのか」
は、自分で決めていい。
そこで大切になってくるのが、
価値観と思い込みを分けて考えることです。
手放すべきなのは「価値観」ではなく「思い込み」
例えば、
「災害が心配だから、食料や日用品をたくさん備蓄しておきたい」
という方がいたとします。
「心配だから備えておきたい」
これは、その人の大切な価値観です。
だから、
「心配する自分を手放しましょう」
という話ではありません。
むしろ、その価値観は大切にしていい。
ただ、
「たくさん持っているほうが安心」
という部分は、本当にそうでしょうか?
大量にストックしていることで、生活スペースが圧迫されている。
管理しきれなくて、気づいたら期限が切れている。
必要なものがどこにあるかわからない。
地震が起きたときに、物が崩れて避難経路を塞いでしまう。
これでは、本当に安心できる状態とは言えませんよね。
「不安だから備えたい」という価値観は大切にしながら、
「たくさん持っていれば安心」という思い込みだけを手放す。
そして、
「自分がきちんと管理できて、いざというときに役に立つ量にする」
という形に変えていく。
これが、価値観を大切にしながら暮らしを整えるということだと思います。
「子どものため」も、同じこと
これは、子育てでもよくあります。
「子どもが可愛いから、いいお母さんでいたい」
「子どもの成長をしっかり見てあげたい」
「子どもが喜ぶものを与えてあげたい」
これらは、とても素敵な価値観ですよね。
でも、その思いから、
おもちゃをたくさん買う。
洋服をたくさん買う。
両家の祖父母からもたくさんもらう。
そして、家の中がおもちゃや洋服でいっぱいになる。
もちろん、物がたくさんあること自体が悪いわけではありません。
でも、その結果、
「遊ぶスペースがない」
「片付けなさい!と毎日言ってしまう」
となったら、少し考えてみてほしい。
本当に子どものためになっているでしょうか?
子どもがのびのび遊んで、
自分で考えて、
自分で手を動かして、
自分で選んで、
自分で片付ける。
そんな経験こそ大切なのに
物が多すぎることで、その機会を奪ってしまっているかもしれません。
「おもちゃを買わない」
ということではなく、
その子にとって、本当に必要な量はどのくらいなのか?
を考えてみる。
洋服も同じです。
たくさん持っていることが、本当に子どもの幸せにつながるのか。
自分で選んで、自分で着て、自分で畳んで、自分でしまう。
そんな「自分でできる」という経験を考えたら、そんなに量はいらないのではないでしょうか。
「子どものため」という価値観は、そのままでいい。
でも、
「子どものため=たくさん与えること」
という思い込みは、手放していいんです。
「もったいない」も、同じです
「もったいないから捨てられません」
これも、よく聞きます。
「もったいない」という価値観自体は、私はとても大切なものだと思います。
だから、その価値観を捨てる必要はありません。
むしろ、
本当にもったいなくない暮らし方を考えてみる。
たとえば、使い切れないほど大量に買って、
結局使わないまま期限が切れてしまったり、
存在を忘れてしまったり、
収納の奥で眠らせてしまったり。
それは、本当の意味で「もったいなくない」でしょうか?
「もったいない」と思うのであれば、
使い切れる量だけ買う。
しっかり使い込む。
使い切ったら手放す。
そのほうが、ずっと「もったいない」を大切にできるはずです。
「何のため?」を掘ってみる
片付けで物を手放すとき、
「これは必要?」
「使ってる?」
だけで考えると、なかなか決められないことがあります。
そんなときは、もう一段深く、
「私は何を大切にしたいんだろう?」
と考えてみてください。
そして、その次に、
「そのために、今やっていることは本当に合っている?」
と問いかけてみる。
たとえば、
「家族を大切にしたい」
↓
だから、家族が喜ぶものをたくさん買う
↓
物が増える
↓
家が片付かない
↓
家族に「片付けて!」と言うことが増える
となっていたら、
「家族を大切にしたい」という価値観と、実際にやっていることが少しズレていますよね。
大切にしたいものは、そのままでいい。
でも、そのために取っている行動は、変えていいんです。
自分を変えなくても、暮らしは変えられる
片付けが苦手な人が、
「もっとちゃんとしなきゃ」
「もっと捨てられる人にならなきゃ」
と、自分自身を変えようとすることがあります。
でも、必ずしも自分を変える必要はありません。
心配性なら、心配性のままでいい。
子どもを大切にしたいなら、その気持ちは大切にしていい。
物を大切にしたいなら、その価値観も大切にしていい。
ただ、
「その価値観を大切にするために、今の行動は本当に合っている?」
と、一度立ち止まってみる。
すると、
「これ、逆のことをしてたかも」
ということに気づくことがあります。
そして、そこに気づくと、片付けは少しシンプルになります。
「何を捨てるか」ではなく、
「何を大切にしたいのか」
が先に見えてくるからです。
あなたが本当に大切にしたいものは何ですか?
片付けても、なぜか暮らしが変わらない。
物を減らしているのに、また増えてしまう。
そんなときは、
「もっと捨てなきゃ」
ではなく、
一度、こんなふうに考えてみてください。
私は、何を大切にしたいんだろう?
そして、
そのために、今やっていることは本当に合っているんだろう?
価値観は、手放さなくていい。
でも、その価値観を守るために無意識に握りしめている「思い込み」は、手放していい。
「心配だから、たくさん持っておきたい」
「子どものために、たくさん与えたい」
「もったいないから、捨てられない」
その気持ちの奥にある「大切にしたいもの」は、そのままでいいんです。
ただ、そのために今の暮らしが苦しくなっているのなら、
「本当に、それが私の望んでいる未来につながっている?」
と、一度考えてみる。
そこに気づけると、手放すものも、買うものも、少しずつ変わってきます。
片付けは、物を減らすためだけのものではありません。
自分が大切にしたいものを、ちゃんと大切にできる暮らしにするためのもの。
だからこそ、手放すのが苦手な人ほど、
「何を捨てるか」より先に、
「私は、何を大切にして暮らしたいのか」
を考えてみてほしいと思います。
この記事を書いた人

井野ともみ
千葉県野田市在住
整理収納アドバイザー
タイムコーディネーター
モノの整理×時間の整理で
人生を選んでいく暮らしについて発信中です。

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